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【後編】充実管理加算、外来データ提出加算等の実務ガイド

目次

はじめに

前編の代表ブログ「外来データ提出加算・充実管理加算の見直しを徹底解説」では、令和8年度診療報酬改定で外来データ提出加算の評価体系が大きく見直され、生活習慣病管理の「質」を実績データで評価する充実管理加算(10〜30点)が新設されたことを解説しました。

本記事ではその続編として、令和8年4月30日付で厚生労働省保険局医療課から発出された事務連絡「令和8年度における外来データ提出加算等の取扱いについて」(同年5月12日に一部訂正)、令和8年5月14日付の説明資料、外来医療等調査事務局のスケジュール公開情報を踏まえ、4つのデータ提出加算 、 外来データ提出加算・充実管理加算・在宅データ提出加算・リハビリテーションデータ提出加算  について、加算ごとに「何を作るのか」「どう運用すれば利益率が高くなるのか」を、クリニックの院長・事務長・事務スタッフの皆さまに向けて整理します。

1. 4つのデータ提出加算の位置づけ

外来医療等調査(正式名称「外来医療、在宅医療、リハビリテーション医療の影響評価に係る調査」)に参加する保険医療機関が、調査に準拠したデータを正確かつ継続的に提出することを評価する加算が以下の4つです。

※令和8年度外来データ提出加算等に係る説明資料より引用

 

届出プロセスは4加算共通

いずれの加算も届出のプロセスは共通で、以下のステップを踏んで初めて算定可能になります。

  1. 様式7の10 の届出(地方厚生(支)局医療課を経由)
  2. 試行データ の作成・提出(外来医療等調査事務局あて)
  3. データ提出事務連絡(合格通知)の受領
  4. 様式7の11 の届出(地方厚生(支)局の各都府県事務所等あて)
  5. 本データ の作成・継続提出

※令和8年度外来データ提出加算等に係る説明資料より引用

2. 外来データ提出加算で作成すべきデータ

外来データ提出加算は、地域包括診療料・地域包括診療加算(1・2)を算定する患者を対象に、月1回10点が算定できる加算です。地域包括診療を中心に運営する診療所にとっては、すでに本体加算を算定している患者がそのまま対象になります。

作成するデータの種類(4ファイル)

外来データ提出加算で必要となるファイルは、他のデータ提出加算と共通の4種類です。

※令和8年度外来データ提出加算等に係る説明資料より引用

対象患者の範囲が広がった点に注意

令和8年度改定の大きな変更点として、外来データ提出加算を届け出ている医療機関では、糖尿病・高血圧症・脂質異常症・慢性心不全・慢性腎臓病・認知症のいずれか1疾患以上を有すると医師が判断した患者、または要介護・要支援の患者 が作成対象になりました。以前の「生活習慣病3疾患のみ」から大幅に対象が広がっているため、作成件数が増えることを前提に運用設計する必要があります。

※令和8年度外来データ提出加算等に係る説明資料より引用

3. 充実管理加算で作成すべきデータと「実績測定期間」の重要性

充実管理加算は、生活習慣病管理料(Ⅰ)(Ⅱ)を算定する医療機関が、生活習慣病管理の「質」を実績データで示すことで算定できる加算です。脂質異常症・高血圧症・糖尿病のいずれかを主病とする患者について、以下の3段階で評価されます。

※令和8年度外来データ提出加算等に係る説明資料より引用

 

実績指標には、「継続受診を行う患者の割合」「集計期間中にHbA1cに係る検査を実施または特定健康診査を受診した患者の割合」「眼科医療機関連携強化加算または歯科医療機関連携強化加算を算定した患者の割合」「継続して投薬による脂質異常症の治療管理を行う患者のうち、脂質異常症に係る検査を実施または特定健康診査を受診した患者の割合」など、各疾患ごとに定められた指標が用いられます。

 

作成するデータの種類

共通項目の生年月日や性別等の赤枠内の項目に加えて、受信年月日等のデータが必要になります。

※令和8年度外来データ提出加算等に係る説明資料より引用

 

上記の集めたデータを以下の4ファイル(外来様式1・外来EF統合ファイル・外来様式3・外来Kファイル)で提出データとして作成する作業が発生します。

※令和8年度外来データ提出加算等に係る説明資料より引用

 

充実管理加算のみを届け出ている医療機関(および令和8年5月31日時点で令和8年度改定前の旧外来データ提出加算を届け出ていた医療機関)では、対象患者が 「糖尿病・高血圧症・脂質異常症を主病とする患者」に限定 されます。

※令和8年度外来データ提出加算等に係る説明資料より引用

 

後から外来データ提出加算も追加で届け出る場合は、対象患者を「慢性心不全・慢性腎臓病・認知症・要介護要支援」まで広げて作り直す必要があります。最初から両加算を視野に入れて運用設計したほうが、手戻りが少なく済みます。

充実管理加算は「実績測定期間」が必要

ここが充実管理加算の最大のポイントです。上位加算(充実管理加算1・2)を算定するには、以下のプロセスを踏みます。

  1. 様式7の10を届け出る
  2. 試行データを作成・提出する
  3. データ提出事務連絡(合格通知)を受領する
  4. 様式7の11を届け出て算定を開始する(最初は充実管理加算3または経過措置による1)
  5. 継続的に本データを提出する=実績測定期間
  6. 実績値の通知を受ける
  7. 様式7の11を改めて届け出る
  8. 実績に基づく加算(1・2・3)の算定を開始する

※令和8年度外来データ提出加算等に係る説明資料より引用

 

充実管理加算は実績測定期間が必要なため、すぐに上位加算を算定開始することができない加算です。

既届出医療機関への経過措置を取りこぼさない

令和8年3月31日時点で生活習慣病管理料(Ⅰ)または(Ⅱ)の注4(旧外来データ提出加算)の届出を現に行っていた保険医療機関については、令和9年3月31日までの間、充実管理加算1の実績要件を満たしているものとみなす経過措置が設けられています。既届出のクリニックは、充実管理加算3ではなく加算1を算定するよう気をつけてください。

※令和8年度外来データ提出加算等に係る説明資料より引用

 

4. リハビリテーションデータ提出加算で作成すべきデータ

リハビリテーションデータ提出加算は、外来でリハビリテーション料(心大血管疾患・脳血管疾患等・廃用症候群・運動器・呼吸器)に係る行為を1単位(20分)以上実施した患者について、月1回50点が算定できる加算です。併算定不可等で当該リハビリテーション料そのものは算定できない場合でも、実施した場合にはデータ作成が必要となる点に注意してください。

 

作成するデータの特徴

共通項目の生年月日や性別等の赤枠内の項目に加えて、

※令和8年度外来データ提出加算等に係る説明資料より引用

 

以下が必要になります。

  • ・外来受診情報(受診年月日、初診の有無、他院による紹介の有無、診療科コード)
  • ・リハビリテーションが必要となった主病(開始年月日、発症年月日、標準的算定日数を超えた年月日、ICD10コード、傷病名コード、修飾語コード、傷病名)
  • ・入院加療を受けた場合の退院年月日
  • ・ADL評価(バーセルインデックス 10項目、FIM 18項目)
  • ・訓練内容

※令和8年度外来データ提出加算等に係る説明資料より引用

5. 在宅データ提出加算と機能強化型在支診の関係

在宅データ提出加算は、訪問診療を行っている患者を対象に、在宅時医学総合管理料・施設入居時等医学総合管理料(在総管の注13を準用)・在宅がん医療総合診療料に上乗せして月1回50点を算定できる加算です。50点×訪問診療の対象患者数 となるため、4つの加算の中でも収益インパクトが特に大きい加算です。

作成するデータの特徴

共通項目の生年月日や性別等の赤枠内の項目に加えて、

※令和8年度外来データ提出加算等に係る説明資料より引用

 

以下が必要になります。

  • ・療養情報:在宅療養を始めた年月、療養を行っている場所
  • ・訪問診療開始前の往診または外来受診
  • ・訪問診療の状況:訪問診療日、主たる訪問診療を行う医療機関、単一建物診療患者数
  • ・訪問看護の状況:訪問看護日、自院での実施の有無
  • ・訪問の主傷病:自院診断の有無、ICD10コード、傷病名
  • ・救急受診の状況:救急受診日、受診先、受診経路、転帰
  • ・入院の状況・短期入所の状況・往診の状況:日付、受診先、傷病名など
  • ・患者の状態:別表第8の2、別表第8の3、バーセルインデックス、排泄・排尿の状況、低栄養・摂食嚥下障害の有無、経管・経静脈栄養の状況

※令和8年度外来データ提出加算等に係る説明資料より引用

 

機能強化加算・機能強化型在支診との関係

注意すべきは、在宅データ提出加算は在宅に関する他の施設基準にも組み込まれている という点です。

例えば、機能強化型の在宅療養支援診療所・在宅療養支援病院 では、各年度5月から7月の訪問診療の算定回数が 2,100回を超える場合、次年度の1月までに在宅データ提出加算に係る提出を行うこと が施設基準として求められています。
※令和8年度診療報酬改定説明資料より引用

加えて、機能強化加算(初診料の加算) や、在宅医療を担う中核的な診療所の施設基準においても、データ提出体制を整えておくことが、将来的な要件化リスクへの備えとして重要です。訪問診療を一定規模で行っている診療所にとって、在宅データ提出加算は「算定するかしないか選択するもの」ではなく、機能強化型在支診を維持・取得するための前提条件 になりつつあります。

※令和8年度診療報酬改定説明資料より引用

 

6. 加算共通の運用ハードル

ここからが、本記事で最もお伝えしたい実務上のポイントです。

データ提出加算の運用ハードルを左右する最大の要因は、「自院の電子カルテと、調査事務局が配布する外来データ提出支援ツール(外来様式1入力支援ソフト)が、どこまで連携できているか」 に集約されます。

 

連携していない場合のリスク

電子カルテと提出支援ツールが連携していない場合、調査事務局の入力ソフトに対して、職員が1患者ずつ手作業で転記入力するケースが発生します。これは診療情報管理士がいないクリニックにとっては、想像以上に大きな負担です。

リスク

  • ・対象患者が多い診療所では、月数十〜数百件規模の入力作業が発生
  • ・入力ミスが起これば、事務局からの疑義確認のたびに過去データに遡って修正作業
  • ・累積3回の遅延等が認められると、3回目の遅延等が認められた日の属する月に変更届出(様式7の12)が必要となり、その翌月から加算が算定不可
  • ・算定不可となった月以降に再度実績が認められても、復活までさらに数か月のラグ

これでは、10点〜50点の加算で得られる収益を、人件費とミスのリカバリーコストが食い潰してしまいかねません。

 

必ず電子カルテ会社に確認すべき5つの事項

新規届出を検討する前に、電子カルテベンダーに以下を必ず確認 してください。

1.令和8年度改定後の外来様式1の新仕様(追加項目:認知症情報、要介護度情報、生活習慣病管理料の主病、脳卒中の有無、急性冠症候群の有無、介護保険情報、特定健診受診の有無、患者の状態 別表第8の3 など)に対応しているか

2.レセコンから 外来Eファイル・外来Fファイル が出力できるか、出力後の統合は自動か手動か

3.外来Kファイル生成用データファイル(カナ氏名・性別・生年月日含む)がレセコンから出力できるか

4.充実管理加算の対象患者と、外来データ提出加算の拡大対象患者(慢性心不全・慢性腎臓病・認知症・要介護要支援を含む)の 両方を電カル上で抽出 できるか

5.在宅・リハビリの専用項目(バーセルインデックス、FIM、別表第8の2・8の3、訪問の主傷病、ICD10コードなど)が電子カルテ上で 構造化入力 できるか

電子カルテメーカーによっては、データ提出加算への対応が手薄で、結局は職員が支援ツールに手入力するしかないケースもあります。電子カルテの買い替えを検討中であれば、この対応状況を選定の主軸の一つに据えることを強くおすすめします

 

7. 年4回しかない試行データの提出機会

データ提出加算の届出機会は年に4回しかありません。令和8年度の試行データ提出スケジュールは以下のとおりです。

※令和8年度外来データ提出加算等に係る説明資料より引用

 

特に充実管理加算では、上位加算を算定したくても、その前提となる実績測定期間が後ろにずれるため、「早く動いた医療機関ほど、収益化スピードで有利になる」 構造になっています。

また、在宅データ提出加算は機能強化型在支診・在支病の施設基準にも組み込まれているため、訪問診療を主軸に置く診療所では、施設基準の取得・維持の観点からも前倒し対応が望まれます。

 

8. 収益インパクトと利益率を高める運用ポイント

データ提出加算の収益は、対象となる本体加算の算定件数に比例して積み上がります。

各加算の収益インパクト

  • ・地域包括診療加算1・2を一定数算定する診療所では、外来データ提出加算(10点)が毎月加算
  • ・生活習慣病管理料を多く算定するクリニックで充実管理加算1(30点)を取れれば、年間ベースでまとまった金額の上乗せに
  • ・在宅時医学総合管理料を継続的に算定する在支診で在宅データ提出加算(50点)を取れば、年間で大きな収益増
  • ・リハビリ単位数が多いクリニックでは、リハビリテーションデータ提出加算(50点)も同様にインパクト大

ただし、人件費と運用負担を最小化しなければ、利益率は確保できません。利益率の高い運用にするための要点を整理します。

 

利益率を高める7つのチェックポイント

  • ・電子カルテと提出支援ツールの連携を最優先で整備 する(手入力をできるだけ減らす)
  • ・試行データ提出の年4回の機会を逃さない(届出忘れ・期限超過への内部リマインダー整備)
  • ・試行データ・本データの「遅延等3回」で算定停止になるリスクを認識し、社内のデータ提出フローを文書化する
  • ・連絡担当者を必ず2名登録 し、メールチェックの責任者を明確化する
  • ・充実管理加算は実績指標(継続受診率・検査実施割合・連携加算算定割合)の自己評価を早期に行い、上位ランクを狙える指標から優先的に改善する
  • ・在宅データ提出加算は機能強化型施設基準との整合性を意識し、5月〜7月の訪問診療算定回数2,100回ラインの推移をモニタリングする
  • ・データのバックアップを必ず院内で確保する

9. まとめ

令和8年度改定により、外来・在宅・リハビリの各領域でデータ提出加算が大きく動きました。特に充実管理加算の新設は、生活習慣病管理の「質」を実績データで評価する仕組みであり、上位加算を狙うには時間的な助走が不可欠です。

院長・事務長・事務スタッフの皆さまにお伝えしたい要点は、次の3点に集約されます。

  1. 4つの加算は別物に見えて、データ作成の土台(外来様式1・EF統合ファイル・様式3・Kファイル)は共通している。一度仕組みを整えれば、複数加算を同時に取りに行ける。
  2. 電子カルテと提出支援ツールの連携状況こそが、利益率を決める最大の変数。電カル会社への確認は届出前の必須プロセスであり、買い替え判断にも直結する。
  3. 年4回しかない届出機会を逃すと、半年〜1年単位で収益化が遅れる。特に充実管理加算の上位加算と在宅データ提出加算は、早く動くほど有利になる構造。

データ提出加算は「請求書類が増える面倒な加算」ではなく、データの作成業務を仕組化できれば毎月自動的に積み上がる収益源 です。極力人の手間をかけず、電子カルテと提出ツールを連動させた持続可能な運用に切り替えることで、利益率の高い運用を実現していきましょう。