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外来データ提出加算・充実管理加算の見直しを徹底解説

令和8年度診療報酬改定では、外来データ提出加算の評価体系が大きく見直されました。最大の目玉は、生活習慣病管理の「質」を実績データで評価する「充実管理加算」の新設です。上位20%の医療機関に30点、上位50%に20点、それ以外に10点という段階的な加算体系は、「質の見える化」に基づく差別化競争の時代が本格的に始まったことを示しています。

本記事では、充実管理加算の施設基準・評価指標・スケジュールを整理し、クリニック・中小病院が今から準備すべきことを解説します。

 

1. なぜ今、外来データ提出加算が注目されるのか

1-1. 届出医療機関数の急増

外来データ提出加算の届出医療機関数は急速に増加しています。保険局医療課調べ(3カ月ごとの届出状況)によると、以下のように推移しています。

※中医協 総ー1 7.10.17 外来(その2)より引用

 

令和6年3月の62機関から、わずか1年3ヶ月で約25倍の1,522機関に急増しています。とはいえ対象医療機関約42,430機関に対する割合はまだ約3.6%に過ぎず、先行者が大きなアドバンテージを得られるフェーズにあります。

 

 

1-2. ガイドラインが求める治療継続の重要性

充実管理加算の評価指標を理解するうえで、各学会のガイドラインが「治療継続」をどう位置づけているかを押さえておく必要があります。充実管理加算の指標に「継続受診を行う患者の割合」が入っているのは、以下ガイドラインのエビデンスに基づいた設計になります。

※中医協 総ー1 7.10.17 外来(その2)より引用

 

 

2. 充実管理加算(新設)の概要および施設基準、評価指標

外来データ提出加算に「充実管理加算」が新設されました。生活習慣病に関連するガイドライン等に沿った診療を行う医療機関を高く評価する観点から、3段階の加算体系が導入されます。共通の施設基準として、外来医療等調査に適切に参加し、調査に準拠したデータを提出することが求められます。

※令和8年度診療報酬改定について【医科全体版】令和8年3月6日版より引用

 

充実管理加算の実績値は、脂質異常症・糖尿病・高血圧の3疾患ごとに定められた指標の上下限値の処理・標準化を行った上で算出します。糖尿病の指標には眼科・歯科連携強化加算の算定割合が含まれており、充実管理加算の実績値にも直結するという「二重の算定メリット」がある設計です。眼科・歯科医療機関連携強化加算については別の記事で紹介していますのでご確認ください。

 

3. 外来様式1の見直し

充実管理加算の新設に伴い、外来データ提出加算の外来様式1が大幅に見直しされます。医療機関の業務負担軽減の観点から、調査項目の簡素化が行われるとともに、データに基づく適切な評価を推進する新規項目が追加されます。実務上の影響としては削除項目が大幅に多く、新設項目は4項目のみです。全体の入力負担は大きく軽減されます。電子カルテ会社へ仕様の変更がないかの確認、および、特定健診データとの連携体制の整備等が実務上のポイントになります。

※令和8年度診療報酬改定について【医科全体版】令和8年3月6日版より引用

 

4. 新規届出のスケジュールと経過措置

充実管理加算は、様式7の10提出→試行データ作成→試行データ提出→様式7の11届出→算定開始→継続的なデータ提出→実績測定→実績に基づく加算の算定開始というプロセスが必要なので、充実管理加算の1~2は今すぐ動いても算定開始までに一定期間を要します。だからこそ、最短での着手が重要となります。

4-1. 令和8年10月からデータ提出を開始する場合

※令和8年度診療報酬改定について【医科全体版】令和8年3月6日版より引用

 

4-2. 経過措置

令和8年3月31日時点において、現に外来データ提出加算に係る施設基準の届出を行っている保険医療機関については、充実管理加算1の実績に係る要件を満たすものとする経過措置が設けられています。既に届出済みの医療機関は最初から30点の算定が可能という大きなアドバンテージがあります。

逆に言えば、今から新規に届出を行う場合は、まず充実管理加算3(10点)からスタートし、実績値が蓄積されてから1〜2への昇格を目指すことになります。

※令和8年度診療報酬改定について【医科全体版】令和8年3月6日版より引用

 

5. クリニック経営への影響と対応策

5-1. 今すぐ着手すべき5つのアクション

1 外来データ提出加算の届出状況の確認

未届出の場合は、まず様式7の10の提出から着手しましょう。次回の提出期限を確認し、逆算してスケジュールを立てることが重要です。

 

2 電子カルテベンダーへの様式変更の確認

外来様式1の大幅な見直し(削除項目・新設項目)に対応するため、試行データの作成方法や改定を踏まえた仕様の変更点などを電子カルテの会社に確認しましょう。電子カルテのメーカーによっては、試行データの作成が大変で費用対効果が低くなるメーカーがありますので、電カルの買い替えを予定しているクリニックは現場の作業負担を軽減したうえで持続可能な運用(データ提出)が可能か、を選定軸に入れる必要があります。

 

3 評価指標の自己評価

3疾患ごとの指標(検査実施割合・連携加算算定割合・継続受診割合)について、自院の現状を把握しましょう。課題が明確になれば、改善策を優先的に講じることができます。

 

4 眼科・歯科医療機関との連携を加速

糖尿病の評価指標に眼科・歯科医療機関連携強化加算を算定した患者の割合が含まれます。近隣の眼科・歯科との連携ルートを構築し、算定実績を積み上げることが上位ランク獲得への近道となります。

 

5 継続受診率の改善

3疾患すべてに「継続受診を行う患者の割合」が指標として入っています。予約リマインド、受診間隔の管理、患者教育の充実などを行い、継続的な受診に繋がるように取り組みましょう。

 

6. 【まとめ】データ提出が「競争力」になる時代へ

充実管理加算の新設は、「データを出すだけで加算がもらえる」時代から、「データの中身(=診療の質)で評価が変わる」時代への転換を意味しています。

上位20%なら30点、上位50%なら20点。この差は一見小さく見えますが、患者数が多い生活習慣病領域で毎月積み上がる点数差は、年間で数十万円の差となります。そして何より、「質の高い医療を提供している医療機関」としての客観的な裏付けが得られることは、地域連携や患者獲得においても大きな武器になります。

対象医療機関のうち届出率がまだ約3.6%の今こそ、先行者利益を取りに行くタイミングです。

 

「外来データ提出加算の届出を検討しているが、試行データの作成方法が分からない。届出の手順がわからない」
「充実管理加算で上位加算の算定を目指したいが、自院の指標に課題がある」

などの、お悩みがございましたら、ぜひ当社にご相談ください。当社の事務長代行サービス経営支援サービスでは、診療報酬改定への対応支援、地域連携戦略の立案、算定オペレーションの構築まで、医療機関の経営課題をワンストップでサポートいたします。

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※ 本記事は令和8年度診療報酬改定の公表資料に基づき作成しています。算定に際しては、最新の告示・通知等をご確認ください。

 

【執筆者情報】(株)医療経営支援事務所 代表取締役 竹森 健太

2016年、特定医療法人谷田会谷田病院に入職後、病院経営の実務を体系的に学びながら、事務部門の業務改善に取り組み、組織運営力の向上に寄与。
2020年より医療機関向けコンサルティング会社である㈱医療環境総研、NPO法人病院経営支援機構、医療経営支援事務所に所属し、50施設以上のクリニックや病院、介護事業所で経営・開業支援、事業承継、建替えを手掛ける。
複数のクリニックで事務長を代行し、院内業務の安定化やスムーズな経営改善が高く評価をいただいている。
また、医療機関や介護事業所の経営課題を解決するためのホームページ制作やシステム開発にも従事し、口コミ対策システム医療介護マッチングつなぐ等、これまでに100事業所以上の支援実績を有する。