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「物価対応料」の新設について
- 2026.03.26 | 代表ブログ
1. 物件費高騰を踏まえた対応の全体像
令和8年度診療報酬改定では、本体改定率+3.09%(令和8・9年度の2年度平均)のうち、物価対応分は+0.76%と大きな割合を占めています。医療機関等が直面する人件費や医療材料費、食材料費、光熱水費及び委託費等の物件費高騰に対し、厚労省は「二段構え」の対策を打ち出しました。
「物価対応料」という新たな加算の新設と、入院基本料等の点数そのものの引上げという二つの手段で、物件費の高騰に対応する構造です。さらに、令和9年度にはこの物価対応が2倍の点数に引き上げられる段階的な設計となっており、継続的な物価上昇を前提とした制度設計がなされています。
※令和8年度診療報酬改定について【医科全体版】令和8年3月6日版より引用
2. 「物価対応料」の新設
物価対応料は、令和8年度及び令和9年度の物価上昇に段階的に対応するため、基本診療料・調剤基本料等の算定に併せて算定可能な加算として新設されました。現時点では届出は不要で、すべての医療機関が算定可能な点数です。
注目すべきは、物価対応料に「2年間の段階的引上げ」が組み込まれている点です。これは物価上昇が一時的ではなく、継続的な課題であるという認識を制度設計に反映したものです。
具体的には、令和9年(2027年)6月以降、物価対応料の所定点数が2倍に引き上げられます。たとえば、外来の初診および再診時であれば2点→4点、急性期一般入院料1であれば58点→116点となります。
※令和8年度診療報酬改定について【医科全体版】令和8年3月6日版より引用
3. 再診料等の見直し
物価対応料の新設に加え、これまでの物価高騰による物件費負担の増加や継続的な賃上げに係る評価の必要性を踏まえ、基本診療料等について点数そのものが引き上げられます。再診料等の見直しの詳細は以下のとおりです。
※令和8年度診療報酬改定について【医科全体版】令和8年3月6日版より引用
4. まとめ
令和8年度診療報酬改定における物価対応は、すべての医療機関が恩恵を受ける設計である一方で、ベースアップ評価料未届出の場合の減算規定や一般名処方加算の減点等もあり、条件付きのプラス改定といえる内容です。
物価対応料は令和9年度に2倍へ引き上げられますが、目先の点数だけに一喜一憂せず、算定漏れ対策の徹底や中長期的な視点で経営戦略を構築していくことが、これからの医療機関経営には求められます。
※ 本記事は令和8年度診療報酬改定の公表資料に基づき作成しています。算定に際しては、最新の告示・通知等をご確認ください。
【執筆者情報】(株)医療経営支援事務所 代表取締役 竹森 健太
2016年、特定医療法人谷田会谷田病院に入職後、病院経営の実務を体系的に学びながら、事務部門の業務改善に取り組み、組織運営力の向上に寄与。
2020年より医療機関向けコンサルティング会社である㈱医療環境総研、NPO法人病院経営支援機構、医療経営支援事務所に所属し、50施設以上のクリニックや病院、介護事業所で経営・開業支援、事業承継、建替えを手掛ける。
複数のクリニックで事務長を代行し、院内業務の安定化やスムーズな経営改善が高く評価をいただいている。
また、医療機関や介護事業所の経営課題を解決するためのホームページ制作やシステム開発にも従事し、口コミ対策システムや医療介護マッチングつなぐ等、これまでに100事業所以上の支援実績を有する。

