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令和8年度診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理(案)について

先日、中央社会保険医療協議会(中医協)より、「令和8年度(2026年度)診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理(案)」が公表されました
今回の改定は、物価高騰や賃上げ、そして2040年頃を見据えた医療提供体制の構築といった、非常に重要なテーマが並んでいます
中医協でどのような議論が行われているのか、その主要なポイントを経営の視点で整理して解説します。

1. 「人への投資」と物価高騰への切実な対応
今回の議論で最も優先度が高いものの一つが、医療現場を取り巻く急激な環境変化への対応です
物件費・食材料費の高騰対策: 光熱水費や医療材料費、食材料費などの高騰を踏まえ、初・再診料や入院基本料、入院時の食費などの基準額を引き上げる検討が進んでいます
賃上げの継続: 看護職員や病院薬剤師など、医療従事者の確実な賃上げをさらに推進するため、令和6年度改定で導入された仕組みの見直しや実効性の確保が議論されています

2. 人手不足を乗り越える「業務効率化」と「柔軟な基準」
深刻な人手不足に対応するため、ICTやAIの活用による業務負担の軽減が強く打ち出されています
ICT活用による配置基準の柔軟化: 見守り機器やICTを組織的に活用する場合、入院基本料の看護職員配置基準を柔軟化する方針が示されました
「様式9」の簡素化: 現場の事務負担軽減のため、勤務時間の算出方法(様式9)の見直しや、施設基準の届出・報告事項の簡素化が検討されています

3. 2040年を見据えた「機能分化」と「連携」の深化
地域医療構想の推進に向け、病院の機能に応じた評価がより厳格化・明確化される見通しです
急性期・集中治療の評価見直し: 特定集中治療室(ICU)やハイケアユニット(HCU)において、救急搬送件数や手術件数などの「実績」に応じた評価を導入する議論が進んでいます
「治し、支える医療」の実現: 高齢者の救急疾患を幅広く受け入れる「地域包括医療病棟」の基準見直しや、リハビリ・栄養・口腔管理を一体的に行う取組への評価がさらに強化されます

4. 医療DXの推進と質の向上
医療DXは「あれば便利」なものから、「医療の質を高めるためのインフラ」へと位置づけが変わりつつあります
電子処方箋の普及: 電子処方箋を活用した重複投薬チェックや、オンライン診療の適切な推進がさらに評価される予定です
アウトカム(成果)の重視: データを活用した診療実績の評価や、身体的拘束の最小化といった、患者にとって安心・安全な医療への評価も重点項目となっています


今回の「議論の整理」は、令和7年12月に決定された基本方針を踏まえたものであり、今後の中医協での議論によりさらに詳細が詰められていきます
特に、ICT導入による人員配置基準の柔軟化は、経営効率を左右する大きな分岐点になるため、今のうちから自院の業務フローのデジタル化を検討しておくことをお勧めします。