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生活習慣病管理料(Ⅰ)(Ⅱ)の見直しを徹底解説

令和8年度診療報酬改定では、生活習慣病管理料(Ⅰ)及び(Ⅱ)に大幅な見直しが入りました。包括範囲の再編糖尿病患者の眼科・歯科連携に係る新加算の創設算定要件の緩和と療養計画書の負担軽減など、クリニック・中小病院の外来経営に直結する内容が目白押しです。

本記事では、添付の厚労省資料をもとに改定の全体像を整理し、各医療機関が押さえるべき実務上のポイントと経営戦略をわかりやすく解説します。

 

1. 生活習慣病管理料が見直される背景

1-1. 生活習慣病管理料の位置づけ

生活習慣病管理料は、糖尿病・高血圧症・脂質異常症を主病とする患者に対する総合的な治療管理を評価するものであり、医学管理の実施を適切に推進する観点から包括範囲が見直されてきました。

 

1-2. 算定状況から見える現場の実態

令和7年度の外来調査(n=126)によれば、生活習慣病管理料(Ⅰ)と(Ⅱ)の両方を算定している医療機関が確認した患者属性の傾向は次のとおりです。(Ⅰ)は受診・検査頻度の低い患者に多く算定され、(Ⅱ)は疾病のコントロールが不良な患者等に多い傾向があります。

※中医協 総ー1 7.10.17 外来(その2)より引用

 

 

 

1-3. 糖尿病患者と眼科・歯科受診の現状

200床未満の病院・診療所において、糖尿病を主病とする患者数は平均118.8人(中央値38.5人)です。そのうち眼科受診を指導した患者数は平均21.5人(中央値0人)、歯科受診を促した患者数は平均14.1人(中央値0人)でした。

つまり、多くの診療所で糖尿病患者への眼科・歯科受診勧奨がほとんど行われていないのが実態です。

※中医協 総ー1 7.10.17 外来(その2)より引用

 

糖尿病診療ガイドラインでは歯周病と糖尿病の双方向の関係が指摘されており、重症化予防の観点から連携強化が急務とされていました。

※中医協 総ー1 7.10.17 外来(その2)より引用

 

2. 改定の全体像──5つの見直しポイント

令和8年度改定における生活習慣病管理料(Ⅰ)(Ⅱ)は5項目において見直しがされました。以下、各項目について詳しく見ていきます。

※令和8年度診療報酬改定について【医科全体版】令和8年3月6日版より引用

 

 

3. 包括範囲の見直しと除外される医学管理

生活習慣病管理料(Ⅱ)は、生活習慣に関する総合的な治療管理を評価したものですが、これまで包括されていた医学管理料等の一部について、その実施を適切に推進する観点から包括範囲から除外されることになりました。

 

3-1. 新たに包括範囲から除外される主な管理料等

今回の改定で、下肢創傷処置管理料等が(Ⅱ)の包括範囲から新たに除外され、別途算定が可能になります。

その他は、以下の図を参照ください。

 

3-2. 在宅自己注射指導管理料の算定範囲拡大

糖尿病を主病とする患者、かつ、生活習慣病管理料(Ⅰ)(Ⅱ)の算定患者に対して、併存する糖尿病以外の疾患に関する在宅自己注射指導管理を適切に推進する観点から、糖尿病に対する適応のある薬剤以外の薬剤にかかる在宅自己注射指導管理料の算定が可能になります。

対象の薬剤として、インスリン製剤等が対象になりますが、その他は以下の図を参照ください。

※令和8年度診療報酬改定について【医科全体版】令和8年3月6日版より引用

 

4. 眼科・歯科医療機関連携強化加算の新設

今回の改定で注目度の高い新設項目のひとつが、糖尿病患者の重症化予防を目的とした眼科・歯科医療機関連携強化加算60点です。どちらも年1回ですが、眼科・歯科への受診を行うに当たり必要な連携を行った場合に算定可能です。中央値0人だった眼科・歯科受診勧奨を「算定動機」で現場に定着させる狙いです。

※令和8年度診療報酬改定について【医科全体版】令和8年3月6日版より引用

 

5. 要件緩和と療養計画書の負担軽減

5-1. 管理料(Ⅰ)の要件見直し

生活習慣病管理料(Ⅰ)について、原則として必要な血液検査等を少なくとも6月に1回以上は行うことが要件として明確化されました。これは、受診頻度の低い患者への(Ⅰ)の算定が多い実態を踏まえ、適切な検査実施を担保するための措置です。

5-2. 療養計画書の患者署名が不要に

生活習慣病管理料(Ⅰ)及び(Ⅱ)の療養計画書について、患者及び医療機関の負担を軽減する観点から、患者の署名を受けることを不要とする見直しが行われました。

実務上の影響:これまで受付や看護師が署名の取得を管理していた業務負担が解消されます。特に複数の生活習慣病患者を抱える診療所にとっては、事務コストの削減に直結する重要な変更です。

5-3. 外来データ提出加算の見直し

外来データ提出加算について、生活習慣病に関連するガイドライン等に沿った診療を行う医療機関を高く評価する観点から、診療報酬の請求状況や治療管理の状況等の診療の内容に関するデータを提出した医療機関のうち、質の高い生活習慣病管理の実績を有する医療機関に対する評価を新設する方針です。

※令和8年度診療報酬改定について【医科全体版】令和8年3月6日版より引用

 

6. クリニック経営への影響と対応策

6-1. 今すぐ取り組むべき4つのアクション

1 包括除外項目の算定棚卸し

これまで(Ⅱ)に包括されていて算定できなかった管理料を洗い出し、該当する患者リストを作成しましょう。

 

2 眼科・歯科との連携ルートの構築

近隣の眼科・歯科医療機関を調査し、紹介の運用フローを取り決めておきましょう。患者への説明テンプレートや同意取得の手順をあらかじめ整備しておくことで、現場での負担を最小化できます。

 

3 (Ⅰ)の検査要件への対応

6月に1回以上の血液検査が要件化されるため、受診間隔の長い患者への検査スケジュールを見直し、リマインドの仕組みを導入しましょう。電子カルテの管理機能もしくは付箋機能、予約システムの活用が有効です。

 

4 療養計画書の運用フロー更新

患者署名が不要になるため、受付・看護師の業務フローを更新しましょう。この機会にペーパーレス化や電子カルテとの連動を進めることで、さらなる業務効率化が図れます。

 

7. まとめ──生活習慣病管理料の「使いこなし方」が問われる時代へ

令和8年度診療報酬改定により、生活習慣病管理料は包括除外による増収チャンス、眼科・歯科連携加算の新設、療養計画書の負担軽減等の見直しがされました。これらを確実に自院の運営に落とし込めるように、早めに準備を開始しましょう。

 

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※ 本記事は令和8年度診療報酬改定の公表資料に基づき作成しています。算定に際しては、最新の告示・通知等をご確認ください。

 

【執筆者情報】(株)医療経営支援事務所 代表取締役 竹森 健太

2016年、特定医療法人谷田会谷田病院に入職後、病院経営の実務を体系的に学びながら、事務部門の業務改善に取り組み、組織運営力の向上に寄与。
2020年より医療機関向けコンサルティング会社である㈱医療環境総研、NPO法人病院経営支援機構、医療経営支援事務所に所属し、50施設以上のクリニックや病院、介護事業所で経営・開業支援、事業承継、建替えを手掛ける。
複数のクリニックで事務長を代行し、院内業務の安定化やスムーズな経営改善が高く評価をいただいている。
また、医療機関や介護事業所の経営課題を解決するためのホームページ制作やシステム開発にも従事し、口コミ対策システム医療介護マッチングつなぐ等、これまでに100事業所以上の支援実績を有する。